日本にいると、なぜ蛇口をひねるとすぐお湯が出てくるのか、なんて考えてもみなかったが
インドではそれなりのホテルを除いて、お湯の蛇口をひねっても日本にようにはお湯が出ない。
日本のように瞬間湯沸かし器なんて便利なものは普及していないので、ギザ(Geyser)というスイッチ式の湯沸かし器を使うのが一般的だ。
自分はアパートを決める際に大家と色々交渉したのだけど、ギザは「ついているな、よし。スイッチオン。お湯でるな、よし。」とあまり深く考えずにスルーしていた。
そしたら、だ。
後でわかったのだが、うちのギザは容量がとても小さかった。
なんと容量たった3リットル。
一回のシャワーで日本人は75L程度お湯を使うらしい。
それに対して、このギザ野郎のキャパシティたるや、たった3リットル。
つまりシャワーしていても、ものの数分、いや数秒でお湯はなくなり、水に変わるのだ。
もともとインドの家でバスタブがついている物件は珍しいし、しかもそんなの高級物件だから、湯船は最初から諦めていたが、そもそも湯船どころの供給量じゃあない。
例えば、仕事が終わって帰宅する。
一息の休息を求めて、ふはぁぁぁ、とシャワーを浴びて一息、さて、とシャンプーに手を伸ばしたぐらいで、もう、水、だ。
これはたぶん我が家のギザが古くて温度が低い、という側面もあるだろう。
きちんと熱いお湯が出ていれば、水も混ぜつつシャワーは出てくるのでもう少しはお湯がもったのかもしれない。
まぁ、でも、とにかく。
シャワーしたくても、お湯が十分に出ないのだ。
しかも、だ。
なんとこのギザ入居して数日で壊れてしまって、スズメの涙ほどのお湯すらも、出なくなってしまった。
はぁ。
なんなんだろう。
修理する人を探すのも、その人間を手配するのも、予定を調整するのも、遅れるのがわかっていて当日待っているのも、修理するのを見守るのも、まして修理したところでチョロチョロとしたお湯しか出やがらないのも、すべてがものすごく面倒くさい事態だ。
そしてあれやこれやに色々と疲れてしまった自分は、直すことを諦めてしまった。
日本では湯船派だったのに、なんとインドに来て、湯船はおろか、水シャワーで暮らす羽目になってしまった。
インドに来たら避けては通れないものの道理。
それは。
すべてを受け入れる。
こと。